あだりほどり

       

            あだりほどり

   気仙・辺辺の四季

   出 世 魚



鰤(ブリ)は、成長するにつれて名前が変わる。
「出世魚」といわれるゆえんだ。
三陸沿岸では、小振りなのを「ショッコ」という。
色が青いので「アオッコ」と」いう呼び名もある。

「イナダ」といったり

は暗青色で、成長するにつれて色が濃くなり、体長1m前後になると黒みを帯びる。
のまわりは、体側から続く帯状の黄色の模様がある。
まるで歌舞伎役者の隈取りのよう
は鮮やかな銀白色。寒のころに獲れるものが、最も味がいい。

「ワラサ」という名前も持っている。
これが関東に下ると「ショッコ」が「ワカシ」。
瀬戸内に行くと、さらに七つの名前に変わる。
中でも「ハマチ」という呼び名が一般的だ。
特に脂がのり、身がしまって美味しくなる寒の頃は、ブリの旬として知られ、「刺身よし、煮てよし、焼いてよし」と、三拍子そろうことになる。
三陸町越喜来にある小壁漁場はかつて、「寒ブリ」で名を馳せた。
日本海の荒海で獲れるブリも有名だが、太平洋側の定置網にも好漁場があった。
中でも日本三大漁場に面した小壁漁場は、昭和40年代までブリ漁で栄えた。
多い時で年間260トンもの水揚げを誇ったという。
首崎灯台を洋上にのぞむ古びた木造の桟橋と番屋が、往時をしのばせる。
 

桟橋    
喜来・小壁漁場
 古びた木造の桟橋が
 往時をしのばせる。


「一本20キロものブリを抱えて、この木造桟橋を渡ったもんだ。
船に乗る時はユッサユッサ揺れるもんだから、ヘリを綱でしっかり抑えながら足場を固めてね」と、古老の漁師は







鰤を横抱きにして
ご満悦のエビスさま。
(背丈102センチ)









      Akiko.s
      98.1
えびす様

赤銅色の顔を緩ませた。
海の男達の願いは、
ズッシリ震える「寒ブリ」の手応え。
ブリがサケになっても、
その心意地だけは変わらない。
小高い岩頭に立つ、太いしめ縄を張りめぐらしたエビス様は、大漁を呼ぶという海の神さま。
その両腕に抱えた大きな魚は、タイでなく、ブリ。
やさしく笑う「寒ブリ」の姿だった。











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