辺辺
a sight of Kesen L

            あだりほどり
   気仙・辺辺の四季


   漁火・夏イカ




漁り火

夕闇とともに水平線にチカチカと輝く幻想的な光景。
三陸沿岸の夏イカ漁が始まり、
イカ釣り船団の漁火(いさりび)が美しいシーズンを迎えた。
ことしの夏イカ漁は全国的に遅めの出足で、これからが本番。
夕暮れを待ちきれず、集魚灯と自動イカ釣り機を装備した
イカ釣り船が、漁場をめざして続々出漁していく。
発電機を回し、集魚灯をこうこうと照らすと、
船上は真昼の明るさに一変する。イカ
船のヘリにつけられた菱形の金属ドラムには、
イカを誘って引っかける色とりどりの
「イカヅノ」がたくさん巻かれている。
「イカヅノ」は、小魚を模した疑似針(ぎじばり)のことで、
今ではほとんどプラスチックやゴム製の市販品だが、
手釣りの時代は、
これをシカの角でつくったという。
「浜にはそれぞれ専門の針職人がいた。生ヅノと枯ヅノがあって、
血がまざっている生ヅノの方がイカの食いつきがよかったなぁ」と
老練の漁師さん。
針にかかったイカは水鉄砲のように
潮を高々と吹き上げて海面に躍り出る。
新鮮なイカは透明感があり、
黒褐色の背中の斑点を指ではじくと明滅する。
“イカ提灯”と呼ばれ、生きのいい証拠だ。
干してスルメにしたので、スルメイカの名前があるが、
最近は刺身、薫製、塩辛として利用するほうが多い。
船上で釣り上げたイカをすぐ生きたままタレにつけ込む
“沖漬け”の下足(げそ)腑焼きもオツな味だが、
やはりこの季節は、涼しげなガラス皿に
山盛りしたイカソーメンの食感は格別だ。
沖に揺れる漁り火。その遠景はセピア(イカ墨)色がよく似合う。
観光客からことのほか喜ばれるこの光景は、
本格的な夏イカ漁とともに
これからさらに輝きを増してきそうだ。船上




















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Dr    大谷俊彦
イラスト  庄司暁子
デザイン 佐藤千香子

98/07/19



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