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| a sight of Kesen27 |
あだりほどり
気仙・辺辺の四季
ドン菓子製造機
「ド〜ン」という大音響とともに甘ったるい香りを漂わせあの懐かしいドン菓子がはじけた。
もうもうと立ちのぼる水蒸気がフッと消えるとあたり一面、大粒の米菓子であふれまるで魔法でも見ているかのように子どもたちの目が一瞬、輝きを増した。
このドン菓子製造機には「バットライス」という名前がついている。
百年以上も前にドイツで開発された。
日本には大正時代に入ってきたようだが今ではたまに子供向けのイベントに呼ばれる以外ほとんど見かけることはなくなった。
十三年前、この機械でドン菓子づくりを復活させたのは大船渡市日頃市町の今野芳郎さん(49)。
ソバの実、クルミ、アーモンド、ピーナッツなどいろいろな原料を使って素朴な味を工夫している。
コメの場合、釜に入れる分量は一回一升。
プロパンガスで熱しながらモーターを回転させること約一五分。
中で圧縮された空気は十気圧にもなる。
ころ合いを見て鉛のフタを鉄の棒でポンとたたくと「ド〜ン」の大音響とともに十倍にふくらんだドン菓子がネットに跳び込む。
「今のコメは美味しくなった分だけ粘りが強くなり、膨れ具合が悪くなったね。昔は一升で一斗できたものが、今は八升分しかならない」と今野さん。
気仙にも昭和三十年代のはじめ頃までは、リヤカーにドン菓子製造機を積み込んで自転車で引っ張ってあちこちで注文に応じる“ドン屋”が二十人ほどいた。
昔は原料といっしょにサッカリンを入れたが、今はシロップをかける。
難しいのは釜の温度とシロップをからめる時の温度。
そして懐かしいあの味は、大音響がつくる。
著作 株式会社東海新報社
0192−27−1000
FAX 0192−27−2154
Dr 大谷俊彦
イラスト 庄司暁子
デザイン 佐藤千香子
99/4/19