辺辺
a sight of Kesen29

            あだりほどり
   気仙・辺辺の四季


   五月ホヤ




よく「海のパイナップル」と言われるのはその形と肌色から来たものだろう。
とにかくあの独特の風味は、三陸の磯の香そのもの。ほや
ひと癖もふた癖もある持ち味と食感に人によって好き嫌いもハッキリしているが食通にはこたえられない至福の味だ。
昔から「五月ホヤは嫁に食わすな」と言う諺がある。
秋ナスと同じように旬の味覚を嫁に食わせたくないという食い意地が張った姑の嫁いびり根性の代名詞かと思ったらじつは、ホヤには種子(たね)がないので、子宝に恵まれるように、縁起をかついで食べさせなかったという温情説もある。
旧暦の五月で藤の花が満開となる頃が旬。
ホヤの養殖をやっている末崎町の熊谷恒次さん(72歳)に聞いたら海底に固着した天然物もあるが、今は養殖物がほとんどで表面にイボイボがたくさんあるのが天然物に近く波が荒いところで育つと身がしまって美味しいという。
「ホヤはどういう字を書くか知っているかね」と熊谷さん。
辞書を引いて「海鞘」を指すと、「保夜」だとニヤリ。市場と仲買人
ホヤは古来から滋養豊富、強精保健薬食として珍重されているからとか。
ホヤの天ぷら、味噌漬け、燻製などいろいろあるが薄塩をまぶしたシソ巻きホヤは逸品。
それでもやっぱり、ホヤは殻から取り出してそのまま食べるのがいちばん美味しいように思う。
汗ばむ日のビールに、キュウリと絡めて三杯酢で味付けしたホヤの冷たい舌触りは最高。
左党には辛口の冷酒にこれがまた相性がいい。
あの甘くて渋い感触がいつまでも口の中に残って、何とも言われない「涼やかな味」である。

            







本辺辺(あだりほどり)に関するご意見等は
下記まで若しくは弊社mailでどうぞ。

著作 株式会社東海新報社
0192−27−1000
FAX 0192−27−2154
Dr    大谷俊彦
イラスト  庄司暁子
デザイン 佐藤千香子

99/5/27



OFUNATO SAITOUSEIKA