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| a sight of Kesen31 |
あだりほどり
気仙・辺辺の四季
し ず
清水の湧水
飲み水にも旬があるとしたら、やっぱり夏。
乾いた喉を潤す冷清水の清涼感は、例えようのない甘露の極みだ。
陸前高田の矢作町の国道343号二又から県道を住田側に北進すると、生出の里に見事な伏流水がコンコンと涌き出ている所がある。
昭和60年に岩手の名水20選のひとつに選ばれ「清水の湧水」。
地元の人は“すずのわっぐづ”と呼ぶこの水は、手が切れるように冷たく、流れはどこまでも清澄。
週末ともなると、隘路に他県ナンバーの車がずいぶんと目立つようになる。
ポリタンクやペットボトルを10個、20個と積み込み、湧口あたりに列をつくっている。
聞けば気仙沼から毎週、涌き水をくみに来ている喫茶店のマスターだという。
「この水でコーヒーを入れると全然味が違うんですよ」。
ご飯を炊いても緑茶を入れてもコクが出て美味しいところに人気の秘密がある。
急にこの水でウイスキーの水割りを飲みたくなり、久しぶりに生出の里までドライブに行った。
すると、湧水前にいつの間にか小さな「百円野菜直売所」が店開きしていた。
『やさいの湧口、どれでも百円』。
今晩の“しばで”にキュウリの漬物とクルミ味噌のシソ巻きを買う。
ボックスに百円玉を二個入れようとしたら『山の神、水の神が見ているぞ!あとはあなたの気持ちしだい』という張り紙。
これには思わず大笑い。
清水の湧水から出た水は途中、生活用水のほか、灌漑用水、イワナ、ニジマスの養殖にも利用されていた。
冷涼豊富な神の水は、どんな干ばつの年でも一度も涸れたことがないという。
著作 株式会社東海新報社
0192−27−1000
FAX 0192−27−2154
Dr 大谷俊彦
イラスト 庄司暁子
デザイン 佐藤千香子
99/7/4