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            あだりほどり
   気仙・辺辺の四季


   奇祭・水しぎ


住田町世田米に古くから伝わる寒中行事「水しぎ」という火防祭りは、
まさに “奇祭
” といわれるだけあって実にユーモラスな祭りだ。
顔にスミを塗り、ボロをまとった若衆たちが、
ブリキの空き缶をガンガン打ち鳴らし、
「ミッサイナ、(火の用心)ミッサイナ」と、
あだりほどりに叫びながら町内を練り歩く。
土足で玄関から上がり、荒びる。
頃合いを見て家人からご祝儀をいただくと、
神社からの火伏札を差し上げる。
基本パターンは新年の悪魔払いと同じだが、
どちらかといえば消防団の防火査察に近い。
水しぎとは、「水祝儀」が訛ったものらしい。
昔の夜、宿場から火が出たときに、
床下を寝グラにしていた乞食が
「火事だァ〜」とわめき、鍋釜を、たたいて一大事を知らせた
お陰で難を免れたという “ 史実 ”にのっとっている。
街頭の両側に用水路が流れていた頃は、
ヒシャクで水をすくって軒先にかけて回ったそうだが、
今は水なしのかまえ。
その分、太鼓やブリキ缶をサイレンがわりに音響効果だけは
バツグン、「大黒舞」の節回しもいい。
ところで、この仮装軍団には愛宕組と曙組の二つのグループがある。
これが江戸の町火消しのように代々犬猿の仲。
最近はファッションやメイキャップでも競り合う。
花嫁衣装あり、チンドン屋あり。
なりふり構わないところがまたいい。
祭りとしての品格は、厳粛な裸参りとは比べようもないが、
女装で男ぶりを競うのも楽しいではないか。
伝統、勇壮というものは、どこか滑稽で庶民的な奇習が、そこにある。




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イラスト  庄司暁子
デザイン 佐藤千香子

98/02/29



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