辺辺
a sight of Kesen54

            あだりほどり
   気仙・辺辺の四季

         

  今出山と黄金伝説 


大船渡市と三陸町にまたがる今出山(標高756m)山頂のツツジが赤く燃えた。
ニワトリの鶏冠(とさか)を連想させるそのツツジの群落は頂上でも、下界から見上げても美しい。
今出山は、気仙の四大金山のひとつに数えられている。
採鉱跡がたくさん残っており「恵比寿抗」「千人抗」「布袋抗」といった抗名もじつに縁起がいい。
炭焼き藤太の名は、各地の金山伝説で登場するがこの今出山にも藤太の話があった。
昔、都の高貴な姫君が良縁に恵まれず観音様に願かけしたところ「そなたの夫は奥州気仙郡今出山で働く炭焼き藤太という者である」とお告げがあった。
気仙にたどり着き、道に迷って難儀をしている姫君を助けたのが藤太。
貧乏暮らしを覚悟で姫は押し掛け女房となるがある日、藤太が山へ行き、金の塊を持ち帰る。
姫が驚いてこの金を何に使うのかと聞いたところ鴨やキジをとるのにこれを投げつけるという。
「なんともったいない」とあきれていると「こんなもの今出山に行けばゴロゴロ転がっているよ」と藤太。
なるほど、藤太が働く炭窯あたりは、一帯が砂金の山。
都に育った姫は、金のありがたさをよく知っている。
姫は夫にいかに高価であるかを説き、砂金を集める。
かくて、二人は文字通り大長者となった。
この種の長者物語はひとつの黄金伝説にすぎないが夫である藤太が金のなんたるかを知らなかったというところにみちのくの社会性、文化性を垣間見たような気がする。
ツツジの群落の下には、今でも金が眠っている。
今出山は、藤太がいたころは「金出山」といったのではなかったか。










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イラスト  庄司暁子
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2001/6/10



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