辺辺

a sight of Kesen66

           
   

         

      


黒煙をたなびかせ、懐かしい蒸気機関車が四半世紀ぶりに住田町内のJR釜石線を走ったのは、かれこれ十二年前のことになる。D51
平成二年夏の滝観洞まつり。
JR上有住駅に「ロマン銀河鉄道SL90」と銘打って走る「D51」(デコイチ)の勇姿があった。
沿線に陣取ったSLマニアがカメラの放列をつくり、じっとシャッターチャンスを待つ。
「花輪線の龍ヶ森信号所でハチロク(8620型)の三重連を撮った時はその迫力に圧倒されたな」じれったそうにSL仲間が自慢話に花を咲かせている。
やがて黒光りする機関車がトンネルを抜け出し駅ホームにすべり込んできた。
待ち伏せていた五葉山火縄銃鉄砲隊が頭上から「ズドド〜ン」と祝砲を轟かせた。
不意打ちを食らった車窓の面々は、思いがけない趣向に「まるでタイムスリップしたみたい」と歓声をあげていたがつい昨日のことのように思い起こされる。
「D51−498」は、昭和十五年に完成して以来、岡山県や新潟県を走り続け昭和四十七年に引退。D51撮影風景
しばらく、群馬県の高崎駅構内で骨休めしていたがイベント列車としてカムバックした。
かつての機関士たちもこの時ばかりは久しぶりの運転に腕まくり。
釜焼けした「ぽっぽや」の顔が赤銅色に輝いて見えた。
まるで宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」を連想させる光景。
五葉の峰々に「ポー」という汽笛がいつまでもこだましていたのが忘れられない。























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Dr    大谷俊彦
イラスト  庄司暁子
デザイン 佐藤千香子

2002/6/9


OFUNATO SAITOSEIKA