辺辺

a sight of Kesen67

           
   

         

      


体型の不釣り合いなオチョボ口と、つぶらな瞳。
フグの王様が半身をもぎ取られたような、あのユーモラスな容姿をみれば、どうも食材としてのイメージにはほど遠いが、食べてみるとこれが美味。
マンボウの酢味噌和えは今が旬。
肉は透き通るように白く、味はイカかエビのように淡白でやわらかい歯ざわりが左党にはたまらないご馳走だ。
漢字で「翻車魚」。
翻車(ほんしゃ」とは水車のことで目の横にホタテ貝のような形の胸ビレをクルクル回して泳ぐ格好が、水車のように見えるからだろうか。
東北地方では「浮木」(うきぎ)とも呼ぶそうな。
日向ぼっこ大好きで大海原にプカプカ浮かんでいるマンボウの昼寝が想像できる。
英語だと「ヘッドフィッシュ」。
頭でっかちの魚とは見た目そのまんまではないか。
水車や浮木に見立てた日本人的な発想の方がはるかに趣がある。
夏,黒潮と共に北上し、沿岸の定置網によく引っかかる。
大きいものはタタミ二畳分もある。
突きん棒漁船が近づいてきても危機管理ゼロ。
マトがでかいものだから簡単にひと突きされる。
すぐに船上で解体されるため、魚市場ではめったにお目にかかることはない。
カツオ船の漁師によると「海水で洗ってほうばるのがいちばん。コワダ(腸)は塩コショウを振りかけて焼き湯上げしたチャブクロ(卵巣)と肝臓の肝和えは酒のシバデ(肴)に最高だな」。
この時ばかりは、オレも漁師に生まれたかった。






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Dr    大谷俊彦
イラスト  庄司暁子
デザイン 佐藤千香子

2002/6/9


OFUNATO SAITOSEIKA