辺辺

a sight of Kesen84

           
   

         

         


味わい一段と深まる冬の海鼠(ナマコ)を、古人は「冬至海鼠」と称して珍重した。
寒さ厳しく、熱燗が恋しくなる時節がら、古人ならずとも酒盃おのずと進む小粋な冬の珍味に舌鼓を打つやよし。
見や目は実にグロテスク。
とても食欲のでる代物ではない。
これを最初に食べた人の気が知れない。
今が旬。
三杯酢で食べる。
口に入れてこりこりした食感は、とりわけ酒の肴には絶妙で、お正月の食卓にも欠かせぬ一品だ。
腹を切り裂くと、細長い腸管(はらわた)がある。
これを水の中に入れ、
泥を洗い出して塩辛にしたものが、コノワタ。
ウニ、カラスミ(ボラの卵)とともに天下の三大珍味といわれている。
ナマコの腸を取って、煮て干したものはイリコと称し、中華料理で珍重される。
江戸時代には、干しアワビ、フカヒレとともに、こちらは輸出の三大俵物といわれた。
コノワタ以上に手に入りにくい珍味中の珍味に、コノコがある。
ナマコの卵巣のことで、めったにお目にかかれない。
三陸沿岸に幻のナマコがあると聞いた。
金海鼠(キンコ)と呼ばれ、体型がずんぐりして太く、全体が美しい黄金色をしていることから、砂金を食べるとか、金の精気から生じたという言い伝えもある。
それにしてもどちらが頭なのか、尻尾なのかわからない。
ヌルリとつかみどころがなく、心もとない。
諺に曰く「塗箸で海鼠をつかむ」。
ほろ酔い気分で、どうぞお試しあれ。










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著作 株式会社東海新報社
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Dr    大谷俊彦
イラスト  庄司暁子
デザイン 佐藤千香子

2003/12/7


OFUNATO SAITOSEIKA