辺辺

a sight of Kesen85

           
   

         

         


陸前高田市米崎町の普門寺は、氷上山麓にある。
門前に周囲十メートルもあろうかという巨杉が二本、左右に聳え立ち、杉の大木に包まれた参道はひっそり静まり返っている。
気仙地方でも屈指の古刹。
本堂わきに建つ県重要文化財の「三重の塔」に気仙大工の腕の冴えを見ることができる。
手前に鎮座する唐金「大仏」とともに、市を代表する景観だ。
この「三重の塔」は文化六年(一八〇九)に建立された。
高さは九輪先端まで約12.5メートル。
その優雅さは誰もが認めるところだが、軒に目をやれば何とも不思議な塔である。
一重が繁垂木(しげだるき)、二重は垂木を設けず全面に彫刻を施し、三重には扇垂木(おおぎだるき)を用いていた。
軒裏各層のデザインが全く異なるのである。
これだけの建物なのに作者が分らないという。
二重、三重と上層になるに従って、木取りがすくなくなっていた。
当時、すでに「木割り」の規矩術が完成していたにもかかわらず、完全に木割りを無視している。
設計図がない。
「小塔を大きく見せようとしたのか三層目が小さく、あとで三層だけ乗せたという説もある」と熊谷光洋住職(52)。
大工として邪道、あるいは合作だったから名前を残さなかったのだろうか。
熊谷住職は、気仙大工が出稼ぎ先で宮大工の技を学んできたという説に疑問を抱く一人。
宮大工が簡単に技を教えるはずがない。
遠く藤原時代から宮大工を招聘する力がこの気仙の地にあった。
「気仙大工は、土着した宮大工のDNA(遺伝子)を受け継いだ人たちの末えいでは」と考えている。
参道の代門にやや小ぶりの仁王像が睨みをきかせる。
境内に天然記念物の「サルスベリ」があった。
奥州三十三観音の二十九番札所であるとともに気仙三十三観音番札所にもなっている。










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Dr    大谷俊彦
イラスト  庄司暁子
デザイン 佐藤千香子

2004/1/11


OFUNATO SAITOSEIKA