辺辺

a sight of Kesen92

           
   

         

         


今年で開館十周年を迎えた陸前高田市の「海と貝のミュージアム」。
日本有数の貝コレクション約六千種、十万点を収蔵する宝の蔵だ。
瀟洒な煉瓦づくりの洋館は、まるで竜宮城のような趣がある。
玄関を一歩入ると、赤、青、黄、縞模様とカラフルな熱帯魚たちが出迎えてくれた。
その奥にデ〜ンと構えるオオジャコ貝は、パラオの元大統領から贈られたもの。
殻の長さ約一メートル、重さは二百九十八キロもあり、博物館に展示されている貝としては世界一の大きさだ。
影法師が巻き貝の形をした得体のしれない人物がこの館の主(あるじ)。
高田松原に生まれ、潮騒を子守唄にして育ったという。
陸前高田が生んだ偉大な海洋生物学者で、ミュージアムの生みの親、鳥羽源蔵・千葉蘭児両先生をモチーフにしている。
二階の「研究者の部屋」に入ると、二人の先生が実際に採集した世界でも珍しい貝たち、なかなか目にする機会のない世界の貝たちに出会うことができる。
じっと見つめていると、古代の限りないロマンと夢を感じずにはいられない。
「先生たちは子どもの頃、生命の営みや自然の大切さを、この三陸の海でさまざまな生きものにふれることで学びました。
そしてその素晴らしさを伝えるためにこのミュージアムを私たちに残したのです」と語るのは今の主、戸羽親雄館長。
ミュージアムでは今、開館十周年記念特別企画展「三陸の海のいきものたち」を開催中(八月三十一日まで)。
豊かな海の恵みと環境にスポットをあて、三陸の海に暮らす魚や貝たちを紹介している。
「豊饒の海を未来に残していくため、何をすべきか考えなさい」。
どこからか影法師の声が聞こえたような気がした。




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Dr    大谷俊彦
イラスト  庄司暁子
デザイン 佐藤千香子

2004/8/15


OFUNATO SAITOSEIKA