辺辺

a sight of Kesen96

           
   

         

         


宝船に乗った七福神。
その中でも、いちばん有名なのが商売繁盛の神さま「恵比寿さん」ではないだろうか。
右手に釣り竿、左手には大鯛を抱える。
漁師たちにとって大漁をもたらす神さまでもある。
商売繁盛といえば「大黒さん」も引けをとらない。
左肩に大袋を背負い、右手に小槌を持って米俵を踏まえる姿は招福万来そのものだ。
さて、陸前高田市小友町と米崎町、大船渡市の末崎町にまたがる箱根山(標高四四六b)の山頂に、この恵比寿さんと大黒さんの石像が仲よく並んでいる。
眼下に広がる太平洋の大パノラマ。
福々しい二つの神さまが、リアス式の入り江に笑顔をふりそそぐとなれば、海の男たちは拝まないわけにはいかない。
もともと箱根山は雨乞いの山だった。
神社には雷神さまが祀られている。
ところが、大漁繁盛の化神がデン、デーンと腰を据えているものだから、古くから気仙町とか広田町、末崎町、遠く唐桑町の方から願かけに漁師がやってきた。
「巻き網や定置網、新造船の進水時とか、いづだり拝みに来ては決まって自分たちの漁場方角に石像を向けていくのが習わしなのス」というのは気仙大工左官伝承館の黄川田巳之助さん。
明治のころ、小友町三日市にある山田石材店の初代・春吉翁と二代・治助翁が丸い自然石の表面にそれぞれご神体を刻み込んだ。
地区民が総出で山頂まで担ぎ上げたという。
ところが、表面がつるつるしてなかなか思う方向に動いてくれない。
頭に赤手ぬぐいの鉢巻きがトレードマーク。
にっこり笑う恵比寿さんと大黒さんは、まるで自分の意のままにあっち、こっちを向いていた。




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イラスト  庄司暁子
デザイン 佐藤千香子

2004/12/5


OFUNATO SAITOSEIKA