辺辺

a sight of Kesen98

           
   

         

         


三陸沿岸の冬の風物詩のひとつにイワシのホオ刺しづくりがある。
天日乾燥のイワシ“すだれ”が冬の日差しを受けてまぶしく輝く風景を見ることも珍しくなった。
大船渡町内の魚加工場近くにズラリと行儀よく並んだイワシの“群れ”がいた。
イワシを鰓(えら)から口にかけて竹を通して干すのでホオ刺しの名前がついたという。
水揚げされたイワシは塩漬けにしてからいったん冷凍し、解かしたあと水洗いして半日くらい天日乾燥させる。
ホオ刺しにするのはマイワシかセグロイワシ。
中ぶりで体長十五aほどが食べやすく味もいい。
腹に独特のニガミがあって好まれている。
「寒風がホオに痛いほどの冷え込みが続く今の季節に乾燥させたものがいちばん旨い」とは食通の話。
よく盛町や高田町で開かれる市日で売っている。
出店のおばちゃんは「海がシケて魚がとれなくなる日本海側からの引き合いが多かったが今はあまり出なくなったね」と小さな練炭ごたつに手を入れ、背中を丸めた。
昔はイワシの丸干しと納豆、みそ汁は日本食の定番だった。
まだ寒さも厳しい節分の頃に安くておいしいイワシの丸干しやメザシを食べて不足しがちな動物性たんぱく質を補給するよう昔の人の知恵が働いたのかもしれない。
銀鱗がキラキラ光り透き通るように白い腹にきれいな黒い星がきれいに並んでいた。
冬の浜一面に芳ばしい香りを漂わせるイワシの天日干し作業は春めく三月まで続く。


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Dr    大谷俊彦
イラスト  庄司暁子
デザイン 佐藤千香子

2005/2/6


OFUNATO SAITOSEIKA