題字

            あだりほどり
   気仙・辺辺の四季


   北限の椿油



トローリ、トローリと、つばき油がアメ色の輝きを放つ。
かつて各家々でも油搾りをやっていたらしいが、

椿は大船渡市、陸前高田市、三陸町の花気仙を象徴する花だ。
大船渡市末崎町にある県の天然記念「三面椿」は樹齢730年以上。
近くの碁石海岸に昨年「世界の椿館」(12カ国約200種)がオープンした。
つばきは風通しのいい、砂浜や、湖辺で生育がよく実になる量や種実の油分が多いといわれている。
植物性油の中で最も優れた品質を誇る。

いまではほとんど姿を消してしまった。
「昔はどこの町にも一軒や二軒、搾油工場があったもんだが、今じゃウチ一軒になってしまったよ」と話すのは陸前高田市気仙町にある石川製油所さん。

トローリ搾りだされた油をさらに、ろ過装置を通す。
つばきを持ち込んでくる人の中には老人クラブの人たちも多い。
健康づくりと実益を兼ねて・・・。
そこには自然の恵みを大切にする知恵が息づいている。
油搾り作業 つばきの実は乾燥具合が決め手。すりつぶす時の音とモーターの回転音が品質のバロメーターだ。
「ゴリゴリ」「ウィ〜ン」
40年前から稼動している東京芝浦電氣製の電動モーター

透明感あふれる黄金の油は『北限の椿油』として、けっこう有名だ。
作り方は今も昔も変わらない。
甘い香りがプ〜ンと漂う年季の入った作業場に、
つばきの実を擦りつぶす機械の音がゴリゴリ響きわたる。
電動モーターを使ったこの機械は、すり鉢状の圧搾機。
搾りだされた油は、いったん加熱したあと、
何層にも重なった、ろ過装置を通すと、アメ色の椿オイルが完成する。
凍らせると白くなるのが純度100%の証だ。
原料の実は、すべて持ち込み。
広田町、小友町、大船渡市、
遠くはるばる茨城県などからダンボールで送られてくる。
何で茨城県からとたずねたら「こっち出身の出稼ぎ大工さんが、
あっちで実を集めて送ってくれるのス。
つばきの実は、種類に関係なく陽のあたるところはいいものが出来るし、
日陰には砂ツバキ(実が入っていない)が多いんだよ」と
石川さんが教えてくれた。
てんぷら油や、けんちん汁など、食用油として
今でも根強い人気がある。
「昔からこれじゃないと」と髪付け油や
クリームとして使うおばあちゃんも少なくない。
若返りのオイルは、今も健在だ。





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イラスト  庄司暁子
デザイン 佐藤千香子

98/02/14

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